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土壌によるセシウム固定の実態を知る!!

 

放射性セシウムは,土壌に強く吸着する性質をもつため,土壌から植物への移行量はごく僅かであり,今では出荷制限を超える農作物汚染は全くと言って良いほど起きていません.ただし,放射性セシウムが僅かであっても土壌から植物に移行することもまた事実であり,その移行量が土壌ごとに異なる理由については,十分に解明されていないのが現状です.我々の研究グループでは,土壌ごとに放射性セシウムを固定する能力が異なる原因を明らかにすることを目的として,研究を進めています.

なぜ土壌はセシウム固定能を持つに至ったのか?その謎を明らかにするため、まずはフィールドにて土壌採取を行います。(熊本県阿蘇山周辺での土壌調査の様子;撮影者 中尾淳)

土壌などの環境物質を化学分析にかけるためには、不純物の除去やサイズ分画などが必要です。(大気降下物からサイズ分画した粒子;撮影者 中尾淳)

粒径分画した粒子についてさまざまな角度から分析を行います。(森林土壌から分画した20μm 粒子のSEM画像;撮影者 田代有希@農環研)

“蛇紋岩”がつくる土壌の多様性を知る!!

 

蛇紋岩は、鉄、ニッケルなどの重金属やマグネシウムが異常に多い岩石です。その影響により、蛇紋岩からできた土では固有の植物相の形成や農作物の生育不良の問題が生じます。我々の研究グループでは、蛇紋岩からできた土壌の元素・鉱物組成を調べ、有効利用の手がかりを探しています。

蛇紋岩は表面が緑色で光沢をもち、蛇のうろこのような模様が見られることから、この名がつけられました。マグネシウムや重金属が異常に多いことから、農業利用の際には工夫が必要とされています(マレーシアキナバル山周辺の蛇紋岩上に立地するキャベツ畑;撮影者 田代有希)

蛇紋岩帯では自然植生も特徴的です。例えばマレーシアのキナバル山に分布する蛇紋岩地帯では、ウツボカヅラのような食虫植物が周辺の他の地質帯と比べて非常に多く見られます(撮影者 田代有希)

蛇紋岩地帯はまた、ニッケルなどの重金属が豊富なため、鉱山としても利用されてきました。(インドネシアカリマンタン南部クアロの蛇紋岩地帯;撮影者 中尾淳)

熱帯土壌の養分保持・供給機構をさぐる!!

 

熱帯の多くの国では、地力に依存した粗放的な農業が行われています。しかし熱帯の土壌は、もともとの養分保持・供給能が小さいため、農耕圧の増加に伴う土壌からの養分収奪が不可逆的な土壌劣化を引き起こすかもしれません。そこで我々の研究グループでは、熱帯土壌の肥沃度特性を明らかにすることを目的として研究を進めています。

熱帯の多くの国では、土壌の養分不足を補うために、森林を切り拓き火入れをすることで樹木が吸い上げた養分を利用する農法、焼畑が行われてきたが、人口増加に伴いこのシステムを持続することは困難になっている(カメルームルンドゥ市周辺の伐採直後の焼畑;撮影者 中尾淳)

熱帯には、養分の溶脱と鉄・アルミニウムの残留・富化がすすんた、赤褐色の貧栄養な土壌が広く分布する(カメルーンベルトゥア市周辺のカカオ畑の土壌;撮影者 中尾淳)

長期休閑をおく焼畑から化学肥料を投入する常畑へと農耕システムが移行するにつれ、土壌侵食などの問題が深刻化している地域も増えてきている(タイ北部中山間地における土壌侵食調査の様子;撮影者 矢内純太)

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