Cameroon 2008-2013
2011.4.4.
福島原発事故が起きた当時は青森県にある環境放射能調査の専門機関でポスドクをしていました。研究所の年度計画に無い(当たり前ですが)事故対応に研究予算がつくわけもなく,自費で研究所の先輩と青森―福島を往復していました。事故当初は空間線量率も高く,ホットスポットの存在も知られていたため,かなり慎重に調査を進めていたのを覚えています。
2012.8.22
京都府立大学に異動した後初めての大掛かりな土壌調査です。当時帰還困難区域に入る場合は必ず防護服の着用義務がありました。この調査中に当時4回生の2名(小笠原・谷口)の院試合格が分かり,防護服を脱ぎながらガッツポーズしていました。小笠原君は福島県広域の土壌の粘土鉱物組成と放射性セシウム吸着能との関係を調べ,論文化しています。
2015.3.30
阿武隈花崗岩帯の森林内での土壌調査の様子です。今では専門家の間で常識となった”風化黒雲母”によるセシウムの吸着現象について,当時は半信半疑でした。そこで特に風化黒雲母が豊富に含まれることが確認できた土壌を採取し,そこから黒雲母の単離と解析を進めました。この調査を機に,風化黒雲母の重要性に気づいていき,小笠原君のD論研究へと発展していきました。(→)
2016.11.8
富岡町からの受託事業として,同町の除染済み農地の汚染状況を調査しました。この時は分属直後の学生も含めて研究室メンバーほぼ全員で協力して,2日間で約200地点の土壌調査を行いました。現在進行形で除染や太陽光パネルの設営が行われている現場も間近で確認できたのは貴重な経験でした。また,この調査を卒論研究として実施した黒川君はM1の時にその内容を論文化しています。
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2019.10.29
フランスの研究チームと協力して,除染済み農地や森林から侵食により河川に移動・堆積する堆積物の調査を実施しました。台風19号がインフラにも大打撃を与えた直後の調査で,車での移動も大変でした。この調査を卒論研究として実施した原田さんと,一個上の浅野さんは2人で協力して論文化を果たしています。
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2021.11.16
筑波大学の髙橋純子先生にご協力いただき,スクレーパープレートを使った森林土壌の薄層採取を実施し,震災10年経過後の森林における放射性セシウムの垂直分布や吸着状況について調べました。論文で読むだけでは分からない大変さ!良く分かりました。
2021.6.17
北海道大学作物栄養学研究室との合同で除染済み農地の客土として用いられた山砂の採取調査を行いました。採取場所によって山砂の中に含まれる鉱物組成が大きく異なることに驚きました。この調査あたりから,北大作栄との連携が深まっていったような気がします。
2022.4.18
阿武隈川の下流から上流に向かって車を走らせ,水田土壌に含まれる風化黒雲母の量・サイズの変化(上流ほど粗く,量が多い)を明らかにしました。この調査を卒論研究として実施した中島さんは,修士研究において黒雲母の構造鉄酸化によるセシウムの吸着能やカリウムの放出能の変化について,更に深堀しています。